春と秋、年2回に行われる行事である『お彼岸』。お盆と共に、お墓へ行く行事として認知されていることでしょう。
特に、普段会う事のない親族などが家に立ち寄ることも多いことでしょう。
そのような際に、どんなおもてなしをすればいいのか分からないという人もいるはず。
どんなものがあるのか、定番となっている『おはぎ』などについても解説いたします。


▼お彼岸の食べ物は、普段の食べ物と違うの?


お彼岸の食事では、普段の食事とは異なるものが出てきます。
特に仏前に供えるための食べ物と、自分の修行を課すという意味で食べるものとがあります。

1つに仏前に供えるための食べ物では、お供えをする際にしきたりがあります。

正面から見て、ご飯をよそったお椀は左、汁の入ったお椀は右、手前には箸を置いて漬物皿を置くようにしましょう。
またお供えをする際に、箸の置いてある側を仏壇の方へ向けるようにしましょう。

これをすることで、おあがりになる仏様が食べやすくなり、差しあげるためとなります。
お彼岸中は毎日一汁一菜、もしくは一汁二菜のお膳をお供えしましょう。
また彼岸の中日には、『一汁三菜』をお供えするといいとされています



そもそも、お彼岸とはどういうことを言っているのでしょう。
お彼岸の語源は、サンスクリット語の「paramita(パーラミタ)」と言われています。この意味は『彼岸に至る』という意味になります。
日本では現世を「此岸(しがん)=こちらの岸、欲や煩悩にまみれた世界」、悟りの世界を「彼岸(ひがん)=向こう岸、仏の住むお浄土の世界」と考えます。

教えに従って精進することで、煩悩に満ちた世界を脱し、悟りの境地へ至ることができるとされました。
その際にお寺で僧侶がよく食べていた物が精進料理とされ、それを食することも、実は精進(修行)の1つだと言われています。

精進料理は主に牛・豚・鶏といった肉類や魚介類などを使用していない料理です。
仏教では『不殺生』というものがあり、動物は人間と同じように命があるため、食べるために殺生をしてはいけないという教えがあるためです。

また、卵も同様で、基本的には使用しないようにしましょう。
煮干しやかつお節なども魚介類から出汁をとることで殺生にあたり、避けるべきだとされています。

しかし、お彼岸の食事は精進料理だけでないとダメというわけではありません。

▼お彼岸にお勧めの食べ物


お彼岸の食べ物と言えば、精進料理以外にも『おはぎ』『ぼたもち』が有名ですがそれら以外にもおすすめの食べ物があります。


◆そば、うどん


別名、「彼岸そば・うどん」といった呼ばれ方をする事もあります。
彼岸以外でも「年越しそば」などその時期によって食べられることも多く、縁起が良いとされたり、
五臓六腑をきれいにする食べ物とされていて、弱った胃腸を回復させるともされています。


◆いなり寿司


いなり寿司も、お彼岸で定番の食べ物の一つです。
肉や魚などを使用せず作れるため、いなり寿司以外でも五目御飯など山菜をメインに使った御飯などが主に食されています。
ただしお供えをせず、家族内で食べるという事であれば殺生は関係ないため肉など使っても問題ありません。

◆お赤飯


御祝い事などがあった際によく食べられるお赤飯。
元となる小豆の赤い色が魔除けの色ということもあり、節分の豆まきの豆は小豆が使われていたそう。
そのため小豆を使ったお赤飯も、魔除けの食べ物としてお彼岸で食されることが多いとか。
その他にも七五三などといった慶事で赤飯を食べることも同様の理由とされています。


◆汁物


一汁一菜や一汁三菜という言葉もあるように、精進料理でも汁物は大きな存在です。
しかしここでも殺生のある食材は使用できないため、野菜がメインのけんちん汁やお味噌汁などが一般的とされています。




◆天ぷら


精進料理と聞くと、どうしても薄味でヘルシーなイメージがありますね。
その精進料理の中でも、比較的メインのおかずとされるのが『精進揚げ』です。
精進揚げとは、殺生をした食材(肉・魚・卵)を使わない揚げ物のことで、主に野菜やきのこなどを揚げた天ぷらのことを指します。
春彼岸にはタラの芽やたけのこ、秋彼岸にはきのこやナスなどを使用するといいでしょう。


▼お彼岸にNGの食べ物


お彼岸に出す料理は、『仏様へ捧げる』ものとなります。
そのため、肉や魚を食べることは原則避けるようにしましょう。

またこのときに注意が必要なのは、出汁の材料も殺生に関係する食材は使わないということです。
かつお節や煮干しなど、魚から取る出汁を使用することも出来ないため、舞茸や昆布などから出汁をとるようにしましょう。

そのため、「三厭(さんえん)」と呼ばれる獣・魚・鳥の食べ物や、
「五葷(ごくん)」と呼ばれるにんにく・玉ねぎ・ねぎ・にら・らっきょうなどは使わず、
それ以外の食材のみが使用可能という事になります。

▼『おはぎ』と『ぼたもち』の違いは?



お彼岸のお供え物にはおはぎとぼたもちがあります。
この2つ、実は呼び方が違うだけで内容は同じ食べ物だという事を知っていますか?

どうして、同じ食べ物なのに呼び方を変えているのでしょうか?

実は季節が由来している


おはぎもぼたもちも、もち米と餡子を使用した和菓子です。
もち米で炊いたものを餡子で包み込んだものが、一般的なおはぎでありぼたもちですね。
この呼び名はそれぞれの季節によって違いがあり、たとえば3月のお彼岸は『春に咲く牡丹の花』にちなんで『ぼたもち』9月のお彼岸は『秋に咲く萩の花』にちなんで『おはぎ』と呼ばれる。という説が、一般的です。
ただ近年ではあまりこの名前の区分けもされることがなく、両方とも『おはぎ』という名前で見ることが増えています。

お赤飯と同様、使用される小豆の赤い色は邪気を払うとされ、昔、貴重品であった砂糖を使ったものをお供えすることで、
『ご先祖様への敬意・感謝』の気持ちを伝えるためと言われています。
またはるばると遠方より来ていただいたご親族をもてなすためのお茶受けにもおすすめの食べ物です。

▼まとめ


お彼岸に先祖供養をすることは、日本独特の文化です。
ご先祖様をご供養される際に集まった家族・親族と一緒に、
先祖と同じ物を食べるという風習を大切にし、今後も引き継いでいきたいものですね。

また精進料理がメインとされていますが、近年では精進揚げやお供えされた洋菓子なども食べられています。
彼岸の日に料理をお供えするということは、自らを極楽へ近づける修行にもなります。
故人が好んでいた食べ物をお供えし、先祖を偲び供養するとよいでしょう。

ここで紹介した精進料理やその他の食材についても、
おはぎやぼたもちの作り方についても、きちんと覚えておくといざという時にすぐに対応できることでしょう。

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